軽井沢日記
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7月30日 軽井沢 16日目

 きっかり7時半に目覚める。3時過ぎに帰ってきた連れあいたちの立てる物音でいったん目が覚めていたのだが、それにしてはすっきりとした目覚めだった。昨夜、ベッドに倒れ込んだ時には重い二日酔いを覚悟していたのに。ベッドから降りると、腰の右側に疼痛を覚えた。いよいよ腰がやばくなっている。なんとかしなければ。
 ご飯の支度をはじめると、T氏、A氏を起こしてしまうと思ったので、まず、犬たちと散歩に行く。7時半だ。いつもなら爽やかな空気がそよいでいるはずなのに、すでに蒸し暑い。今日も厳しい暑さになりそうだ。
 スポーツパークのドッグランに行ったが、ここもいつもより2、3度気温があがっている。昨日のカラオケパブで気温が30度を超える日は軽井沢では年間に五日ぐらいしかないと聞いていたのだが、わたしがこちらに来てから、すでに30度を超えた日は3日になるのではないか。あと2日? そんなはずはない。地球温暖化の波はここにも押し寄せているのだ。
 ワルテルが壊してしまった柵は、まだ補修されていなかった。大変に申し訳ないと思いつつ、ドッグラン内を散策する。日なたにいるよりましだが、それでも暑い。30分ほどでマージはばててしまった。ワルテルにもいつもの元気はない。わたしも同じだ。粘ついた汗が首筋にまとわりつき、気分が萎えてくる。
「もう、帰ろうか?」
 2匹に声をかけると、特に反対もされなかった。我々は帰途についた。
 犬たちの足を拭いていると、まずA氏、ついでT氏が起きてきた。連れあいは爆睡したままだ。どれだけ飲んだのだろう。限度という物を知らない人間は、これだから困る。
 近所のスーパー、マツヤに自転車で買い出しに行き、さらに再びマージを載せて菊池動物病院に行った。注射を打つだけだから、ものの5分で診察は終わる。昨日はうんともすんともいわなかったマージだが、今日の注射には悲鳴をあげた。
「注射のアンプルを冷蔵庫で保管しているんですが、冷たくて、それで痛みを感じたんだと思います」
 菊池先生は申し訳なさそうにいう。
「大丈夫だよな、マージ。痛いっていうよりびっくりしただけだろう?」
 マージはわたしの太股に鼻を押しつけて、早く帰りたいという意思表示をした。  
昨日の連中、今日は来ないだろうな・・・
昨日の連中、今日は来ないだろうな・・・
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ワルテルの座席。ちょっと狭い。
ワルテルの座席。ちょっと狭い。
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ドアを閉めるとこれだもん。
ドアを閉めるとこれだもん。
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マージの席は広くてゆったり。写真には写ってないけど、扇風機まで完備している。
マージの席は広くてゆったり。写真には写ってないけど、扇風機まで完備している。


* * *

 病院から戻ると、人間たちの食事の支度が待っている。大忙しだな。
 フリルレタス、各種ハーブ、フルーツトマトのサラダ。ボローニャソーセージと軽井沢ウィンナーソーセージのソテー。フランスベーカリーのバゲットにアンチョビバター。それに牛乳。
 連れあいは後で食べるといって、ベッドに伏せったままだったが、我々は二日酔いを吹き飛ばして、旺盛に食べた。野菜もソーセージもうまい。
 昼前に両氏が辞去して、別荘にいつもの空気が戻ってくる。落ち着きなく部屋をうろついていたワルテルも、食事のおこぼれにあずかることを期待してずっと起きていたマージも、やがて眠りに就く。
 わたしは仕事をはじめた。


* * *

 夕方、犬たちと外に出る。夏休み客がぞくぞくと別荘地にやって来て、落ち着かない雰囲気が漂っていた。マージもワルテルも気もそぞろで、駐車場に自動車が入ってきて人が降りるたびに足を止め、警戒する態勢に入り、時にワルテルは唸ったり吠えたりする。この貸別荘地はすっかり二匹の縄張りと化しているのだ。縄張りに侵入してくるものに対して、かなり過敏になっている。
 早めに散歩を切り上げ、犬たちのご飯の支度をする。ケーナインヘルスに馬肉。相も変わらぬメニューだが、犬たちの歓び方も変わらない。
 シャワーを浴び、犬たちに食事を与え、待つ。今日はアロー建設清水さんと食事をする約束になっているのだ。7時半に清水さんが迎えに来てくれることになっている。
 今日、別荘地にやって来た学生らしき団体が、敷地内でバーベキューをはじめた。それは全然かまわないのだが、まだ酔ってもいないうちから、だみ声で騒いだり歌ったりしはじめる。マージは眠っているが、ワルテルは目に見えて落ち着きを失いはじめた。
 そういうことがやりたいのなら、別の避暑地へ行けばいいのに。はっきりというが、軽井沢に学生ノリ、体育会系ノリはまったく似合わない。迷惑だ。人々はは静かに時を過ごすためにここへ来る。バーベキューを楽しむにも、ローカルルールが存在するのだ。まあ、周りに他の客が泊まっている別荘があることがわかっていながらああいう馬鹿騒ぎをしてしまう連中にはいうだけ無駄だろうがなあ。
 学生たちの馬鹿騒ぎと空腹で苛立ちがましていく。ところが、7時半を過ぎても清水さんは来ない。電話をかけると、仕事先でトラブルがあって、遅れそうだという。先に行こうということになり、タクシーを呼んで旧軽へ向かう。
『黒うどんの山長』。看板だけ見ればうどん専門店と勘違いしそうだが、夜は居酒屋の雰囲気。魚や馬刺がうまい。30分ほど遅れて清水さんが到着し、乾杯しつつ、土地を探してくれと依頼する。かなりシビアな条件なので難しいとは思うのだが・・・。
 食べて飲む。酒はビール一杯、日本酒3合、焼酎の水割り1杯、グラスワイン1杯。
 食後、ホテルフィレンツェのバーに移動して、葉巻を吸いつつソルティドッグ2杯を飲む。清水さん、T氏ご夫妻と馬鹿話に興ずる。ソルティドッグの2杯目を注文したら、ラストオーダーでいいですかといわれた。時計を見ると11時15分。そうだ、軽井沢はすべての飲食店、商店は11時で営業を終えなければならないのだった。
 大急ぎでソルティドッグを飲み干し、辞去する。もちろん、犬たちは首を長くしてわたしの帰りを待ち構えていた。
 犬たちと散歩に出かけ、自分が思いの外酔っていることに気づいた。二日続けての酒宴は久しぶりだから、身体がついてこられないのだ。
 しかし・・・そろそろ写真のネタがなくなってきた。どうしようか。


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