W杯特別寄稿

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「一宮オールスター競輪」

 山口幸二が1111で完全優勝したとき以来の一宮だ。げんが悪い。というか、中部地区で勝った記憶がない。できるだけ多くの競輪場に足を運びたいと願っているのに、年に一度は中部地区でG1がある。なんとかしてくれんものか。
 とぶつぶつつぶやきながら、新幹線の車中でスポーツ新聞を広げる。一読驚愕−−なんじゃ、この番組は!!。吉岡様、お願いですから勝って決勝戦に進んでくださいという主催者の目論見が見え見え。山田より吉岡の方が売り上げが伸びるという現実はわかるが、ギャンブルの公平性をまったく無視している。目先の金にちょこまか動いて、しかし、こんなことをやっていると競輪自体の未来が危ないということにはまったく気づいていないのだろう。
 時間の読みを間違えて、一宮に到着したのがなんと、12時前。これでは軍資金が足りなくなると、ちまちまと車券を買うも、ほとんど当たらず。中でも泣けてくるのは富永益男。絶好の番手なのに、合志に競られ、負け、9着惨敗。うむぅ。
 着々と目減りしていく軍資金だったが、8レースの3連単(3着総流しでいいんだから簡単だったね、このレース。3連単ってこういうレースで買うべきなのね)と9レースの2車単を当てて、元手をはるかに超える配当金。「よっしゃ、今日はおれの日だ」とばかりに、増えた軍資金を残りの2レースにぶちこんで、当たり前のように撃沈。
 印象に残ったのは伏見の強さ。一昨年、無敵を思わせたころの脚が戻っている。あとは、脳味噌の問題か。というか、この男の場合、そこがなによりの問題なんだけれど。
 翌最終日。前日の轍を踏むまいと、午後1時過ぎに競輪場着。またもちまちまと、主に3連単を主に車券を買う。軍資金が少ないと、こういう手に走ることが多いのう、最近は。当たって外してを繰り返し、決勝戦に突入したときは、当日用意した軍資金が3分の2ほどに減っていた。少ないが、勝負できないわけではない。直線が異様に長い一宮バンク、村上の逃げ切りは考えにくいし、グランドスラムがかかってプレッシャーと戦わなければならない吉岡は、おそらくは定位置の8番手。もともと併走嫌いだし、脚溜めたがるタイプだし。昔の滝沢先生のように内に詰まっても自分でどかしてもう一回もがくなんてことはできん男だからなあ。長塚の動きが不気味だが、伏見は最悪6番手。ならば−−。
 伏見−斉藤裏表を軸にした3連単で大勝負。押さえは2車単、伏見と斉藤から、村上ラインの3人と、吉岡へ。
 車券を買ってから、バンクを見ると、普段はバック向かい風なのに、いつの間にか追い風に変わっている。えー、うそー、村上はちょびっとしか勝ってないよぉ、と呻いたものの、すでに軍資金はゼロ。なにやら不吉な予感を胸に、号砲がなるのを待ったのだった。
 風向きは変わらない。バックは相変わらず追い風だ。一列棒状から5番手の村上が追い上げはじめるが、やはり吉岡はついていかない。4番手を確保するより脚を溜めたいんだな。昔ならそれで通用したかもしれないが、いかに復活と騒がれようが30男。往年の脚は求めようがないのだが、まだ本人はそこに気づいていない。スピードはこの面子でも最速だろうけれど、村上と伏見だって負けないぐらい強いのよ。
 打鐘すぎ、村上ラインを先頭に、4番手が長塚、6番手が伏見。よぉし、これで伏見はタイミングを見計らって捲ればよい。最悪捲り追い込み気味になっても頭は取れるだろう。
 ところが−−最終バックになっても、長塚の動き待ってるだけで、伏見、ぴくりとも動きやがらない。吉岡と同じで、自分の脚を過信しておるのだ。バック追い風でペース掛けしてる村上が前におるのだぞ!! と叫んでも、伏見は動かない。当然、その後ろの斉藤も動けない。
 後ろから吉岡が踏んで来るが届くはずもなく、3コーナー辺りでやっと伏見が踏み始めたが、村上のペースは全く落ちない。
 で、村上−小野−光岡で入線。一番前のラインで決着。ちゃんちゃん。
 頭悪いったらありゃしない(泣)。どうして斉藤に差されても仕方がないぐらいの気持ちで走れないんでしょう。どうしてこんなやつと友達なんでしょう、おれ(号泣)。
 そんなわけで、中部で特別競輪やるのやめてくれんかという思いを新たにした旅だったのでした。名古屋で知り合いにうまい物食わせてもらったけど、どれもこれも名古屋名物じゃないしね。

(2003年9月29日掲載)

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