W杯特別寄稿

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「グランプリ '03」

 東京オーバル京王閣で開催されるグランプリのために、あちこちのメディアによいしょ原稿を書いたので、おれはもうVIPだろうと、人を介して特別来賓席を用意しろといったところ、もう満席です、午前9時45分まで起こしいただければ特観席を用意させていただきます、という返事が来た。
 激怒したのはいうまでもない。が、わたしが激怒する前に、間に入ってくれた人がうまく交渉してくれて、結局は来賓席の案内状が来た。
 それでも、立川や平塚からの経験上、席を用意してもらっているといっても、午後遅くに行けば、部屋の隅のへんな席しか残っていないことはわかっていたので、競輪仲間と午前11時に京王多摩川駅改札で待ち合わせた。11時といえば、まだ第3レースの時間である。A級の負け戦。半分以上の選手は顔も名前も知らない。こんな競輪やってられるかと、1レースにつき3千円前後の車券を買うだけでお茶を濁していたら、これが当たる当たる。
 よこしまな気持ちが薄いと、博打って当たるものなんですね。
 まあ、8レースのA級決勝戦なんて、だれがどう見ても頭鉄板、当たらない方がおかしいというレースだったし、あとから考えれば、GPなんかじゃなくってこのレースが勝負どころだったんだけれどなぁ。
 9、10、11とレースが進み、知っている選手が出てくるとよこしまな気分は否応に増し、車券は当たらなくなっていく。12レース、すなわちグランプリなんて、あなた、わたしはよこしまの権化でしたな。
 並びは伏見−佐藤−岡部。村上−小野−太田。小嶋に山田。吉岡は単騎。だれもがそう予想したように、伏見の先行は考えにくい。なんとなれば彼はこの1年、そういうレースをしてこなかったのだ。ここで逃げるぐらいなら、他のレースで逃げていた方がどれだけいいか。逃げるのは村上しかいないが、後ろの小野は負傷明け、太田にはマーク屋の仕事などできるはずもない。吉岡は例によって9番手だろう。となれば、これはもう小嶋から買うしかないではないか。人気も薄い。
 買いましたよ。ええ、買いましたとも。小嶋本命の総流し。全日本選抜の借りを返してもらわなければならないし。どれが来てもん百万円の配当になるように。小嶋が不発だったときの福島ラインからも数点をチョイス。久々になぁ、絶大な自信を持って売り場に並んだのだよ。
 はぁ・・・。
 数万人の予想を裏切って、伏見は村上ともがき合い。おお、これは小嶋、絶好の捲りごろではないかと拳を固く握りしめたら、あの野郎、なにを考えたのかインに突っこんでいきやがりました。ふぅ。この時点でわたしの小嶋車券は紙屑同然。どうして焦っちまうのかなあ。頭が悪いにもほどがあるよなあ。エンジンの性能だけでいったら、9選手中ナンバー1なのに。
 呆然としつつも、こうなったら慎太郎と岡部に縋るしかないとよこしまな考えが脳裏を横切ったその数瞬後、紫の9番車がもの凄い勢いで2コーナーを捲り上げていく。太田じゃん、太田じゃだめじゃん。わたしは頭を抱えていたが、太田から買っていたわたしの友人は欣喜雀躍。しかし、友人の喜びも束の間、緑と赤のユニフォームが最終ストレートを風のように駆け抜けていく。
 ああ、そうですか、そうですか。結局、山田と吉岡ですか。どうせなら、吉岡に勝たせてやりとうございやした。立川なら、間違いなく頭まで突き抜けていたことでしょう。それぐらい見事なスピードです。もがき合いのせいで前のスピードが乗っていなかったからだとしてもね。
 しかし、これぐらい見事に読みが外れ、絶対にいらないと切り捨てた車券が来ると、頭にも来ないものだ。
 しかし、なんだ。グランプリの売り上げ、70億ちょいというところだろうか。終わっているなあ。これでイエローラインみたいなくだらない新ルールがはじまったら、ますますファンの競輪離れに拍車がかかるんではないだろうか。まあ、わたしの知ったことではないが。もはや、伊集院静さんを本場で見ることもなくなったし。
 夜の歌舞伎町で鮨をつまみながら反省会。わたしとわたしの友人は、「来年は初心に帰ろう。自分たちの車券戦術を考え直そうと」と硬く誓い合った。無理に決まってはいるのだが、そう誓わずにはいられなかったのだ。
 今年の競輪はほとんど全敗。ああ、目眩がする・・・。

 追記
 立川記念をスピードチャンネルで観戦した(レースダイジェストで、だけど)。新ルール、終わってるな。だいたい、これだけルールが頻繁に変わるギャンブルなど見たことも聞いたこともない。どうしてルールを変えるかというと、落車を減らすためだ。しかし、連中はおれたちファンのことを考えているわけではない。落車した選手のために蓄えてある基金みたいなものだがあるのだが、それがどんどん目減りしていってこのままで底を打つ。だから、ルールを変えるのだ。選手会が変えるんだぞ、おい。やってられるか。ファンだけではなく、選手のことも無視して、勝手にルールを変えまくっている。
 しばらくは競輪場通い、やめるかもしれない。馬鹿らしくて金を注ぎこむ気になれなくなってきた。

(2004年1月11日掲載)

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