W杯特別寄稿

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「放心状態」

 しょぼいサッカーだ。四年もかけて築いてきたサッカーがこれかと心の底から思う。それでも、日本代表の勝利を夢見てきたし、ワールドカップがはじまってからは、トルシエ批判は置いておいて、ただただ日本代表を応援しようと思ってきたし、そうしてきた。
 しょぼいサッカーだった。ロシアが予想以上にしょぼくなければ負けていたかもしれない。それでも、日本代表は身体を張っていた。後半の三十分は根性だけで闘っていた。フラット3もなにもない。勝ちたい−−その一念だけで闘っていた。
 今までの日本代表には見られなかったことだ。ホームで闘っているという現実が、淡泊だった彼らに泥臭い試合をさせたのかもしれない。
 とにかく、なんでもいい。日本は勝ったのだ。これほど嬉しいことはない。
 日本の勝利の余韻に浸って、どこぞで祝杯をあげていたかったのだが、締切の関係で真っ直ぐ家に戻らねばならなかった。これほど悲しいことはない。しかし、それがわたしの現実だ。
 とにかく守るしかない状況に陥って、宮本を筆頭とするディフェンスラインはトルシエのくびきから放たれた。素敵だった。いやはや、いやはや。
 わたしはいま、放心状態だ。明日の朝は、6時半に家を出て、再び韓国に飛ばなければならない。いやはや、いやはや。
 チュニジアは楽な相手ではない。組織はずたぼろだが、個人技がある。日本はそういう相手に弱い。またぞろ、十四日には胃の痛い思いをさせられるのだろう。それでも、勝ってほしい。勝ってくれ。

(2002年6月10日掲載)

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