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7月22日 軽井沢 8日目
「何時に目覚ましかけたの?」
連れあいの声で目が覚めた。目覚ましは7時10分を指している。7時半に鳴るはずなのに・・・。
犬が静かだと思ったら、連れあいに起こされる。踏んだり蹴ったりだ。
居間に移動すると、犬たちが足元にまつわりついてくる。ご飯と散歩、早く早く−−わたしをせっつき回すのだ。
連れあいが家から持ってきてくれた(要するにわたしが持ってくるのを忘れたのだ)スープメーカーに白舞茸、トマト、小松菜、セロリ、煮干しと水を入れてスイッチを押す。スープが出来上がる間に、叔母が昨日持ってきてくれた玉子サンドを林檎ジュースで飲み下す。
二〇穀米入りご飯に出来上がったスープをかけ、火を通したメカジキや細かく刻んだ生野菜、ヨーグルト、オリーブオイルをかけて混ぜ合わせ、冷ます。腹をすかせた2匹がぴーぴーと笛を吹く。やかましいな、もう少し待てよ。
充分に冷めるのを待って、食べさせてやる。ご飯の量が多めだったのでどうかと思ったが、案の定、マージは少し食べ残した。それをワルテルが狙っていたので、すぐに食器を上げた。昨日の夜のウンチはごく普通だったが、まだ安心はできない。
散歩に出る支度をしていると、ワルテルがトイレシートの上でウンチをひりだした。もうちょっとで外なのに・・・しかし、ワルテルのウンチはこってりもりもり、立派なウンチだ。もう大丈夫だろう。
今日も陽射しがきつく、蒸し暑い。車に乗ってスポーツパークのドッグランに向かう。犬たちと歩き回っていると、じっとりと汗ばんでくる。しかし、立ち止まると、湿った風が吹き抜けて心地よいことこのうえない。
ドッグランの外の道を散歩する犬をワルテルが目敏く見つけて駆け寄っていく。興味津々なくせに、相手が近寄ってくると大袈裟に跳んで後ずさる。他の犬と上手に遊べるようになるのはまだ先のことだな。昨日の連れあいと同じで、経験が必要なのだ。
小一時間ほど遊んでいると、大きなゴールデンが二匹やって来て、盛大に吠えた。ワルテルがびびってわたしの足元にへばりつく。マージは二匹の様子を伺っていたが、突然、よたよたよドッグランの出口に向かって歩きはじめた。
帰ろうという意思表示だ。臆病者どもめ。しかし、マージは他の犬とのコミュニケーションをほとんど持たずに10年を生きてきたのだ。仕方がない。
我々は帰途についた。
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| 今日はどこで遊ぼうか? |
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| 調子に乗ってアジリティ用の穴に落ちてしまいました。 |
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別荘に戻ると、女性陣が朝食を食べていた。旧軽井沢のフランスベーカリーで買ったというパンと、浅野屋のコロッケをぱくついている。わたしも相伴にあずかった。塩クロワッサンというのが想像外の食感で美味しかった。
雑務−−家事から解放されるというのは素晴らしい。義妹が淹れてくれたコーヒーを飲みながら、わたしはソファで足を伸ばした。
この日記を書いたり、メールに返事を書いたりして午前中の時間が消費される。
昼飯は、中軽井沢駅前の「ア・ラ・ガール」。オーナーのHさんには花火大会の時にお世話になっている。軽井沢で家、もしくは土地を買うことについて相談しつつ、チキンとトマトのカレーを食べる。辛さはソフトマイルド。連れあいは2倍の辛さ、叔母と義妹はノーマルを食べているが、辛さにひーひーいっている。
あの家に決めず、いろいろ見て回った方がいいという当然のアドバイスを受けて、わたしひとり、別荘に戻った。犬たちの歓迎を受けながら仕事に没入する。
* * *
夕方の散歩はまた敷地内で。連れあいと義妹が出てきて、犬たちと遊びはじめる。最初はワルテルだけが彼女たちとの遊びに付き合っていたが、マージもやがて、その輪に加わっていった。よたよたよ、よろよろと身体を動かし、連れあいを追いかけたり義妹にじゃれたりする。わたしには決して見せてくれない姿だ。マージはわたしといると、遊ぶことより甘えることを選ぶ。
ワルテルが脇腹を執拗に掻いているので様子を見てみると、肌の一部が一円玉ぐらいの大きさで剥げ、出血している。虫に刺されたかなにかしたところを自分で掻き、噛み、悪化させたのだ。明日、病院で見てもらおう。
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| マージも女性陣と遊ぶ。 |
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| 義妹と戯れる魔犬2号。 |
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| かっ、かいーっ!! |
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義妹が行きたいといっていたイタリアンの店があるのだが、予約は取っていないという店員の傲慢な態度に腹を立て、急遽、わたしが夕飯を作ることにする。そういえば、わたしの信頼する人が「味も態度も勘違いしてる店」といっていたような・・・ま、彼は正しいはずだ。
犬どもの晩ご飯はケーナインヘルスにラムのレバー。やはり血の滴る内臓は食欲を刺激されるのか、マージもワルテルも調理中から落ち着きをなくしてうろうろしている。もちろん、完食。
人間用にはアロー建設清水さん(実名を出してくれと依頼された)の実家から送られてきた天然のアサリを白ワイン蒸しに。メカジキのソテー。モッツァレラチーズ、トマト、バジル、水菜のサラダ。フランスベーカリーのバゲット。白ワイン。アサリがうまい。清水さん、ありがとうございます。
ちょいと量が足りなかったので、冷蔵庫に転がっていた生ハム、チョリソーなどもテーブルに並べる。
下手なレストランに行くよりよっぽど旨い。話には聞いていたが、フランスベーカリーのバゲットも美味。外側は堅牢で、中はふんわりもちもち。なにもつけずとも、それだけでいくらでも食える。パンが大好きなマージも連れあいの横にぴたりと張りついて動かない。
食後、ソファで横になっていると、木の葉を雨が打つ音が聞こえてきた。雨が盛りを濡らしている。湿って甘い空気が夜を支配していく。雨音に耳を傾け、甘い香りを堪能していると、いつの間にか眠っていた。
ドアが閉まる音で目覚めた。連れあいと義妹が眠りこけているわたしの代わりに、犬たちを散歩に連れだしていてくれた。雨はまだ降り続けている。連れあいたちはすぐに散歩から戻ってきた。
気温もかなり下がっている。
「一緒に散歩に行けなくてごめんな。代わりに、明日の朝はたくさん遊ぼう」
マージとワルテルに謝って、わたしは葉巻に火をつけた。旨い。これが人生でなくてなんだというのか。
早めに寝室に引き上げた叔母と義妹をよそに、わたしと連れあいは軽井沢に家を持つことについて、延々と話し合った。
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