Hase's Note...


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「肩こり」

 肩こりが、酷い。二十代のころは、肩が凝るやつの気が知れないなんてほざいていたものだが、三十歳を過ぎた頃から、つまり、職業作家になってから、どんどんどんどん肩が凝るようになった。最近では凝りが酷すぎて、頭痛すらする。
 ただいまカンヅメになっているホテルでマッサージを一時間頼んだら、マッサージ師があまりの懲りように驚いて「お客さん、三十分延長しませんか? 徹底的にほぐしておいた方がいいですよ」といいだす始末。当然、延長してもらったけれど気持ちがいいのはマッサージしてもらっている間だけだ。毎日マッサージを受けたいところなのだが、それじゃ、金がいくらあっても足りない。
 そういえば、わたしが利用するホテルの近くに、近ごろ流行の「癒し系マッサージ屋」があって、ホテルの部屋でマッサージを受けるよりリラックスできるのでよく行くのだが、この前は若いねーちゃんがマッサージ師で、マッサージ台にうつぶせになって、顔をのせるための穴のあいたところからなにげなくおねーちゃんの足を見たら、なんと網タイツをはいていて、なんだか風俗に行ってしまったような気持ちになった。まあ、マッサージはちゃんとしていて気持ちがよかったのだが、網タイツのマッサージ師なんて、初めてだった。時代は変わったのう。一時間半で七千円ってのも激安風俗みたいだ。マッサージを受けながら、このおねーちゃんの彼氏はいいよなあ、ただでマッサージしてもらえるんだもんなあ、あ、でも、おねーちゃんの年ごろの男なら肩なんて凝らないか、などとくだらんことを考えていた。
 やれやれ。
 それはそれとして、肩こり対策のために、枕をテンピュールに代えてみたり、テレビ通販でマッサージ椅子を買ってみたり、肩をぐるぐるまわす運動を気づくたびにやってみたりしているのだが、まったく改善しない。長時間パソコンと向き合っていることと、運動不足。それに加えて、わたしは極端に暑さに弱いので、この時期はエアコンをかけっぱなしにしている。原因はわかっているのだが、こればっかりはなあ。職業病の一種だものなあ。昔は連れあいの方が肩こりが酷くて、肩揉みを頼まれるたびに鉄板が入っているみたいだと思ったものだが、今のわたしの首から肩にかけての皮膚の内側には超合金の鉄板が入っているようなものだ。だから、連れあいにマッサージを頼んでも、ちっとも効かない。プロに頼るしかないのだ。うちの犬なんか力が強いからマッサージ覚えさせたら強力な武器になるななどと考えることすらある。阿呆である。
 あまりに肩こりが酷いとストレスが溜まり、小説書きにも集中できなくなる。気が短くなって、いつにもまして嫌な奴になってしまう。困ったものだ。
 ネットを覗いて、肩こりに効く画期的な代物はないかと探してみても、どれもこれも一長一短。鍼治療でも受けてみようかと思っているのだが、わたしの飲み友達が昔鍼治療を受けていて、「鍼は効くんだけど、治療を受けた日はなんかどんよりしちゃうんだよな」といっていたことを思い出して躊躇している。一日、仕事を休めればいいのだが、それができんのだ。ああ、いやだいやだ。ワールドカップなんてなけりゃよかったのに−−罰あたりだなあ、おれは。
 それにしても、肩こりは辛い。みんな、どうやって対処しているのだろう。

(2002年7月16日掲載)

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