Hase's Note...


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「家庭内クラシコ」

 スカパー!で充分なのだが、うちのマンションがいきなりケーブルテレビを導入したので、いくつかのチャンネルをケーブルの方に移すことにした。本当はいらねえのだが、WOWOWを入れなきゃ思っていたところだったし(チャンピオンズリーグを見るため)、ケーブルテレビでWOWOW見るには、やはり他のチャンネルも契約せにゃならんようなので、きっぱりと、決めた。ついでにネットもケーブル回線にしようかと思ったのだが我が家のあるエリアは一番速いやつ使えないんだと、やれやれ。
 それはそれとして、スカパー!のウェブ上でチャンネルの解約やら新規契約やらを済ませ、あとはケーブルテレビ会社の人間に来てもらうだけなのだが、今週半ばからわたしは再び沖縄取材の人になるので、しばらくは見られない。
 それなのにこの忙しい時期にあれやこれやをやったのは、連れあいのためだ。
 スカパー!J−SKYSPORTSというチャンネルの『FOOT!』という番組に出たときも話したのだが、去年のW杯以来、それまでサッカーのサの字も口にしたことのなかった女が、サッカーにどっぷりはまってしまったのだ。まずはポルトガル代表(わたしが耳にたこができるぐらいポルトガル代表のサッカーはおもしれえぞといっていたせいだと思うのだが)。そこからフィーゴとルイ・コスタとジョアン・ピントとフェルナンド・コウトに行って、今ではマドリーとミランとラツィオとスポルティング・リスボンのファンになっている。でたらめ極まるが、わたしがなにをいっても通じない。
 だいたい、フランスW杯の決勝に連れていってやったのに、そんな大事なこともすっかり忘れ去って日韓W杯中に「わたしも一度でいいからW杯生で見てみたいわ」と抜かした女だ。頭が痛い。
 そんなわけだから、昨年までは週末から翌週火曜日ぐらいまでにかけての夜はわたしひとりの「サッカー・ナイト」だったのだが、今では夫婦そろってサッカー漬けだ。楽しそうに思えるかもしれないが、わたしは日曜の夜は、とりあえず中田の試合をライヴで見ることにしている。が、連れあいはミランやラツィオの試合を見たがる。わたしはクライフ以来の「馬鹿」バルセロニスタで、マドリーの試合など見たくもないのだが(とかいいつつ、かつてはこっそり見ていたのだが)、連れあいはマドリーの試合を見たがる。見たうえで「バルサ、可哀想ね」などといいやがる。わたしは憤激する。激怒する。泣きわめく。マドリーだって十年前はクラブ自体が潰れそうな過去の遺物だったんだぞとガキのように叫んではちゃぶ台をひっくり返す。
 家庭内クラシコは恐ろしい。今期は辛くて辛くてしょうがないから、「バレロンってものごっつういい選手だぜ、笑顔も可愛いし、それにドナートっておっさんがいてな、これもいいんだ」などと耳許で囁いて、連れあいをマドリディスタからデポルティーボのファンに変えようと画策したりもしている。だいたい、マドリー命、とかいっておきながら、メンディエタの悲しそうな顔がいい、とか、プジョルもいいわよね、とか、女というのは全く理解不能だ。それを指摘してやると、「あなただってジダンは世界最高の選手だっていってるじゃない」とわけのわからん反撃をする。
「禿は(ジダンのファンのかたごめんなさい。でも我が家では彼は「禿」で通っているのです)は世界一の選手だけどマドリーに移籍したからおれ的にはクズだ」とわたしは強がりをいう。ジダンもフィーゴもラウルも、マドリーの選手じゃなければ素晴らしい。しかし、マドリーの選手はすべからく敵なのだ。「馬鹿」バルセロニスタにとっては。
 まあ、そんなこんなで「サッカー漬けの夜」は過ぎていくのだが、先週から別のチャンネルでポルトガル・リーグの放映がはじまったから、また話はややこしくなる。欧州サッカー好きの諸君はよく知っているだろうけれど、ポルトガルのリーグはちょっとつまらない。ベルギー・リーグよりはましだが、オランダ・リーグと同じぐらいのレベルでつまらない。それを、ジョアン・ピント見たいがためにチャンネル権を主張されるとわたしは非常に困るのだ。実際、昨夜は無理矢理「スポルティング対ポルト」という試合を見せられたのだが、これまた退屈きわまりなかった。アーセナルの試合見たかったなあ。
 とにかく、我が家のテレビにはWOWOWも加わることになった。バルサがチャンピオンズリーグで快進撃を続けて、マドリーが敗退してくれれば、我が家の家庭内クラシコも均衡を保てるのだが、わたしは「馬鹿」バルセロニスタのくせに、バルセロナの優勝は疑問に思っている。バルセロニスタの苦悩はまだしばらく続く。多分、チャンネル権争いもしばらくは続くだろう。そのうち、テレビ2台体制がやってくるのかもしれない。
 なんだか時事問題に対してのわたしの身勝手な意見を楽しみにしている人が多いらしいが、去年からこっち、この世界で起こっていることはわたしにはあほらしすぎて語る気になれない。北朝鮮のテレビがとんでもないって? 日本のテレビだって五十歩百歩じゃねえか。ってことで。
 沖縄取材のため、二週間ほど更新できないので、よろしく。

(2003年2月25日掲載)

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